「マリー・アントワネット」
今年のミュージカル始めは「マリーアントワネット」でした。12年ぶりの再演だそうです。
マルグリット:昆夏美さん
大阪公演なので、フェルセン伯爵は古川雄大さんがシングルで演じられております。
お話はマリーアントワネットと、フランス革命に関わるマルグリット・アルノーという少女の物語。全編通して結構重く、体力をつかいました…。特にマリーアントワネットへの罵りの言葉がひどく、あ、あ、あああああああ〜!
「外国女」とかそんな言い方ないんじゃない?!彼女ではどうしようもないことじゃん!?と辛くなりました…
ずっとフランスに受け入れられなかった彼女の孤独をその罵りの言葉によってはっきりと表現したかったのかもしれないけれど…。
誰が正義で誰が悪、という話ではなく主要人物みなが誰かを傷つけ、誰かに傷つけられている、そんな物語でした。
特にルイ16世は切なく、不器用に優しくマリーアントワネットに愛を伝えようとするのだけれど、マリーアントワネットには全く伝わらない…!
彼女はアクセルとの恋に必死だから…!
おお、なんてこと…。
と嘆きつつ、花總マリーアントワネットと古川フェルセンの並びはため息が出てしまうほど美しかったです。夏の夜の舞踏会の場面、仮面で表情が見えないにも関わらずフェルセンの恋心がその瞳から語られて、美しかった…またオルレアン公爵たちの策略も同時に進行していてドキドキする場面でした。
花總まりさんはやはりとても上手にマリーアントワネットとして存在していました。アクセルとの恋に必死で、王妃としてのプライドが見え、「私が!私を!」という強い主張に時折イライラしてしまうのも花總さんの計算のうちなんだろうな。あんなキラキラした瞳で見られるとそりゃルイ16世も嫌いになれないし、フェルセンも未練タラタラでしょうね!彩乃かなみさん演じるランバル公爵夫人との場面、めっちゃ可愛かったです。
2幕入ってから、恋する少女から高貴なそして孤高の王妃にガラッと変わるのは圧巻でした。
そうそうランバル公爵夫人が本当に素敵だった!かなみさんの柔らかさがマリーアントワネットを包みこんで…。たまらなく愛おしい存在でした。
昆夏美さんは今回初めて拝見しました。どこから声がでてるの!?というくらいパワフルな歌声。あと、その目でマリーアントワネットを殺せそう、と思うくらい暗く殺気立った目が印象的でした。フィナーレの挨拶でもう疲れ切った表情だったのも印象的。ほんとものすごいパワーを使う舞台なんだと実感しました。
古川雄大さんのフェルセン伯爵は本当に美しく…恋心と忠義心の間で揺れ動くさまも美しく…たまにでる「マリー」呼びにときめかずにどこにときめくのだ、という感じでした。さっきも書きましたが、マリーアントワネットとの場面は切ないながらもうっとりとしました。歌声も安定していて、聴きやすかったです。
2幕に入ってから、涙なくしては観られず、特に王太子とマリーアントワネットが引き裂かれる場面は今思い出しても涙がでます。
エンタテインメントというよりもメッセージ性の強い舞台で新年から色々考えさせられました。
マリーアントワネットと少女が心通わす物語と勘違いしていた私にはちよっと衝撃が。(むしろ、罵り合っていたわ)
演者のパワーも物語のパワーもすごくて、なんだかえらいものを観てしまったなぁ、と思いました。
役替わりも観たいな、なんて友人と幕間は話していたのですが、終演後には2人とも感情が揺さぶられ、泣き疲れ、これをもう一度観るのは辛い…となりました。
でも再再演があるとしたら、観に行きたいなー。
エリザベートも観に行きたいなー。