蜘蛛巣城

黒澤明監督の映画を舞台化したものの再演。脚本は加筆されているそう。シェイクスピアマクベスを日本の戦国時代に置き換えた物語。

私は映画も初演もまったく知らないんですけど、マクベスの大筋は知っているので(本も持っていた気がするな…)すんなり世界観に浸れました。

好きだったのは、シンプルな演出と舞台が明るくて見やすかったこと。

話が暗いお芝居って物理的に舞台も暗いことがあると思うのだけれど、今回は暗い印象はなく、観やすかったです。森の中の場面は暗かったですけど。単純なことではあるけれど、観やすさって大事だなぁ。悲惨な場面がほとんどなので、ビビりな私としては、血飛沫の演出もなく立ち回りの効果音がないおかげで芝居に集中してみる事ができました。いや、派手な演出な舞台も好きです。(謎の弁明)

主人公の武時(早乙女太一さん)と軍師(長塚圭史さん)が妻を慈しむ場面があるのが現代的だなぁ、と思ったり。主人公武時とその妻浅茅は反対されながらも結婚、という設定で、武時の妻への仕草一つ一つに「大恋愛やったんやなぁ」と思わされました。その慈しみと愛が2人の軸にあるからあの美しくもやりきれないラストシーンに終着するんやな。

好きだ好きだと言いながら、生で観劇した回数は数えるほどの早乙女太一さん。見れば見るほどかっこいいから、これ以上観ない方がいいんじゃない?!いや、観れるだけ観た方がいいよ!という葛藤が生まれている。お金と時間が無限にあったらなぁ!!!あとチケットを入手できるツテ。

 

KAATは興味深い演劇をたくさんしていて、そのうち劇場行きたいなぁと。近日中に行きたいなぁ。

長塚圭史さんはドラマで結構怖い役してるイメージなんですけど、舞台で見ると顔小さくて手足長くてスタイルめっちゃいいから驚く。前回も驚いた。中島歩さんもめっちゃスタイルよかった…。同じ人類とは思えない。

今回は原作ありの赤堀さん演出作品だったので、今度はぜひ赤堀さん作の舞台を観たいな、と。あとやっぱり早乙女太一さんの舞台は頑張って観たいな…という。

隣の人のマナーが悪すぎる以外はいい日でしたよ!

じっとしてられない人は舞台を観に来ない方がいいよ!

 

「琥珀色の雨にぬれて」雪組2017年

スカイステージで録画してたのやっと見たよシリーズ。

タカラヅカ的にはとても有名な作品でタイトルは聞いたことがあっても触れていないものもたくさんあって。「琥珀色の雨にぬれて」もその一つです。

今回やっとだいきほバージョンでちゃんと全編みたです。道ならぬ恋の話だと把握していたのでジメジメしてるのかな(雨だけにね!)と勝手に決めつけていたのですが、湿り気は少なくて、面白かったです…!タンゴのシーンが多いのがすごく好き。あの演出は柴田先生時代からなのかな?正塚先生だからなのかな?とにかく素敵なダンスがたくさんあって楽しめました。

私、20年間ぐらいシャロンが人妻だって思い込んでたんですよね。なに見てそう思ったのか…シャロンはどちらかというとジゴレット(女版ジゴロ)側の立ち位置…まぁ、厳密にいうと違うんと思うんですけど。自由を愛しながら多分孤独が嫌いな女性。ところでジゴロって日本ではタカラヅカでしか聞かないんですけどフランスでは現代でも一般的な単語なんですかね。

ヅカオタしてると色んな単語に出会いますね!

しかしまぁ望海さんはなんて表情をするの。クロードの瞳こそ無垢でほんと森の妖精さんを信じている瞳でした…。クラブでシャロンを助けてエヴァに褒めらた時の「まぁ一応元軍人なんで(`・ω・´)キリっ」がほんと嬉しそうで可愛かったです。プレお披露目にしては大人っぽい演目だよね、と思ってたんですけども、若々しくて、意外と若いトップに合う演目なんだ!って発見。

彩凪翔さん演じるルイさんとの謎の協定も若い感じでかわいい。クロードさんとルイさんの微妙な友情かわいい。シャロン演じる真彩希帆さんの透明感がすごかった。そりゃ妖精さんと見紛うよね!モテモテきぃちゃんかわいい。

寂しがり屋のシャロンの背景が語られる場面はあんまりないのだけれど、その余白が絶妙だと思いました。

 

星組『モンテ・クリスト伯』『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』

ありちゃん、星組デビューおめでとおおおお!

 

初演3回観に行ってるモンテ・クリスト伯、初演は怒りに震える凰稀かなめさんがとにかくかっこよくてかっこよくて、観ているこっちも震えました。

今回、やっぱり大きな変更点は人数がだいぶ減ったからでしょうね、狂言回しをしていた現代パートはなくなってその役回りを天華えまさん(ぴーすけ)と暁千星さん(ありちゃん)が自分のお役そのままでやっておられました。それだけでだいぶ印象は変わりますね。個人的には現代パートにそこまで嫌悪感はないのだけれど、あの謎の「要するに構文」は減っていてよかったです。しかし、「そのセリフいるかね!?」は相変わらずです。

礼真琴さんのモンテ・クリスト伯エドモン、めーっっちゃいい人なんやろな、って思わせる役作りだったです。パーティでメルセデスに会っちゃってからは結構悩んでるのがかなめくんより分かりやすい印象。ビジュアルは初演を踏襲してる感じで、かなめくん仕様の衣装だからか?となりにいるのが長身のありちゃんだからか?礼さん厚底がいつもよりすごくない?って思ってました。変装ありきの作品なので仕方がないけれど中盤のビジュアルももう少しすっきりさせたほうが礼さんには似合うよー。という個人的感想。終盤のビジュアルは最高にかっこよかったですね…。

ありちゃんの異動に勝手にソワソワしていたので、となりに同期のぴーすけがいて安心しましたwありちゃんのわんこ属性が遺憾無く発揮されてかわいいおじさんでしたわ…。なるほど、星組ファンに自己紹介的な…。

☆観劇当時にここまで書いてすっかり忘れ去っていた…。以下ディミトリ観劇後の年末に無理矢理書いています。

 

瀬央ゆりあさん(せおっち)のフェルナンはほんと顔が美しすぎて登場息を飲みました。そして顔が美しいからこそ際立つクズ感。輝咲玲央さんのダングラールも圧すごくて、レオさんの役の振り幅すごいよね…。紳士の時ほんまめっっちゃ優しそうやもんね…。舞空瞳さん(なこちゃん)は剣を下手に扱うのがすごく上手で身体を自由に操られるやなって感じたし、ドレスもよく似合って素敵でしたね!

ラカンはせおありの並びがすごくよかったので、今後、もっともっと絡んでほしいでふ。と言ってたら、ディミトリでは絡み皆無で悲しかったです。

楽しみにしてた琴ありは、ありちゃんの女役で、違う違う違う。見たいのと違う。って個人的にはなってた(わたしの願いはジャガービートで叶えられた)

おっきなありちゃんが礼さんの胸に収まろうとしているのが可笑しかったです。可愛かったです。大型わんこみたいで…。

ボニータで前髪下ろしてる礼さんに衝撃を受けて息を飲んだけど、その場にいた観客全員が同じ状態になっていることを後でTwitterで知って笑った。

あとショーでもありちゃんが同期に囲まれてて、嬉しかった!よかったねえええええ。

 

もっと色々書きたいことあったのに忘れてしまったよ… 

 

 

『お勢、断行』

セットもお衣装も劇場の作りも相まって完成度の高いお芝居。

湿気が多くてお芝居だとわかっているのに生々しいお芝居。

実在する事件をモチーフにしているからかもしれないけれど、ああーこれが江戸川乱歩の世界なのかと。江戸川乱歩に一切触れたことがない人間の感想です。

あらすじ読んだだけで怖くて読めないんだわ江戸川乱歩。ドラマも見れないんだわ。

今回、2年前にキャストがすごく魅力的で悩みながらもチケットを購入するも、中止になったのもあって再演決まってなんの悩みもなく観に行くことにしたんですけど(しかも気合をいれてめっちゃいい席買ってた)、やっぱりめっちゃ怖かったです…。江戸川乱歩の世界観…ほぼ倉持さんのオリジナルとはいえ、多分すごく江戸川乱歩を大事にしてるんじゃないかな?(読んだことがないから憶測でしかない)

生々しくて物語として捉えきれない自分がいて観終わった後の体力の消耗がすごかった(仕事の疲れとも言い切れない)、その一方で物語を作ることについて考えてる自分とがいて不思議な感覚でした。演者の所作の美しさが作り上げた世界について考えさせたのかな。とりあえずめっちゃ人死ぬやん…。

以前観た『パ・ラパパンパン』(主人公の作家が自分の書いた物語の世界に迷い込み悪戦苦闘するお話)のことを思い出したりしていた。物語を構築していく過程を感じられるのがお芝居の好きなところでもある。

物語自体は悲惨だったけれど、コメディな部分もあって暗くなりすぎることもなく本当に完成度が高かった。ただ、階段から人が転げ落ちるところとか、そこは笑うとこだろか?というとこで笑い声が上がっていて、先入観て難しいなって思いました。

お着物も綺麗だったしすごくいい舞台だったけれど、江戸川乱歩怖すぎて、再演があっても観に行くかは謎です。あの湿っぽさがもう…怖いのよ…。

ところで休演になってしまったけれど代議士役が梶原善さんなのがすごくしっくりくる…あの湿っぽさには梶原さんだよね…。でも代役の阿岐之将一さんも恰幅よくて代議士感すごかったし、急遽とは思えないくらいの馴染み具合、そしてお芝居中の物理的な労働を考えるとあれぐらいの若々しさがあってもいいなって思いました。

倉科カナさんを舞台で拝見するのは3回目。セリフが明瞭でテレビとの印象がすごく変わる俳優さんの1人。

私自身の気質からいうと多分合わないお芝居だったんですけど(なんせ怖い)。すごくいいお芝居だったのも事実で。こんなことあるんだなぁ。

多分江戸川乱歩との触れ合いはこれが最初で最後です。

『フェイクスピア』

天保十二年のシェイクスピア』が中止になって一年半…。未だその傷は癒えてはいないけど、ついに…ついに!高橋一生の舞台を観に行くことができたのです…。

 

野田秀樹演出作品、観るのは初めてです。たぶん。

野田作品とは昨年観た『真夏の夜の夢』が初めての触れ合い。たぶん。

こちらは演出をルーマニアのプルカレーテさんが行っていて、舞台美術が美しくてよかったなぁ。今井朋彦さんの声がめっちゃよくて、痺れたのと出ている全ての役者の身体能力の高さに驚愕したのよ。いつもテレビドラマで嫌なおじさんをしている手塚とおるさんもかっこよかった。

 

演出家は違えどやはり、世界観は同じかなぁと。題材も同じ「シェイクスピア」ということ、同じように色んな物語が組み込まれていることもあるのかもしれないけれど…。根本に流れるイデオロギーが一緒なんかなとか。知らんけど。

真夏の夜の夢』は自分が物語を知っているからか、摩訶不思議なところも消化しやすかったけれど、今回のフェイクスピアは新作だし、はじめての野田秀樹だし…ちょっと難解というかなんというか…。別に流れが分からないとかではないんだけれども、なんでしょう?

「神様から盗んだ言の葉」が実はそうではなくて…実際は死者の見る夢の中で…。落とし所はそこでいいのかな?とか思ってしまったり。ファンタジーから急にリアルになったからかな…。

野田秀樹作品の世界観に慣れるにはあと何回か観た方がいい気がします…。

高橋一生さんはもう、なんかすごい。声帯を使いこなして、声色も自由自在。声の変化がなんのひっかかりもなくスムーズであることに驚愕しました。やっぱり舞台経験豊富な人っていいなぁ。

一生さん、野田秀樹さんの変な動きに笑いが堪えきれず、同じ動きを白石佳代子さんがするとまた笑い、その動きを真似するっていう。白石さんも一生さんの動きに笑ってしまって、なんでかもう一度一生さんに同じ動きを自らリクエストして笑う、っていう一連の流れが可愛かったので忘備録。仲良しか。

他にも所々笑ってたりしてかわいかったな。

演劇好きが観客に多かったのか、ちょっとした小ネタでも大笑いだったのも割と印象的。

個人的には2時間ノンストップはちょいと長いと感じてしまって、単純な私には野田秀樹作品は高度すぎたかしら?でもつまらない!というわけでもなかったんだけど…。ほんとうに世界観を楽しめるかどうかなんだと思いました。出演している全ての俳優に高い身体能力が求められて、野田さん本人も飛んだら跳ねたりしてて、すげえ。ってなりましたね。野田さん、想像より小柄で俊敏でした。

ずっと観たかった人が観れて、その人が想像通りに凄まじい俳優さんで有名作家の作品を一度は観るという目標もひとつ達成して、新しいものを観れてとても満足はしました。

 

ちなみに2時間座りっぱなしだった私の足の浮腫は恐ろしく普段の倍ぐらいの太さになっていました…。

 

「モーツァルト!」-古川雄大-

この状況下の中でもはや観れないと覚悟していたのだけれど、奇跡的に観れました。それでも大半の公演が中止になってしまったことがショックでしばらく落ち込んでしまったのだけれど。誰が悪いわけじゃないのだけれども、なんともやるせないですね。

 

そんなこんなで観てきたわけだ。モーツァルト

2018年にも観ているんですけど、2回目だったからなのか(2018年ときは「あのモーツァルト!が観れる!」という興奮がすごかった)より物語への没入感があった。といっても、結構忘れてる場面が多くて驚いたんですけどね。興奮してたからね。

それにしても、モーツァルトモーツァルトの家族もうまいこといかなくて、とても悲しい。悲しい悲しい。自分も才能がありながらも女であるが故、ヴォルフガングの姉であるが故に犠牲を強いられてしまうナンネールは言わずもがな「どうしてこのままの僕を愛せないの?」とパパにたいして悲痛な思いを持ち続けるヴォルフガングが悲しい。

そうなんだよ、ヴォルフガングは小さい時からパパに愛されたくて認められたくて必死なんだよ。ちっこい頃の演奏会の場面でめっちゃパパの顔見てるんだよ。その時の気持ちはずっと変わっていないんだ。「僕こそ音楽」がすごい好きなんだけれど終盤ヴォルフガングがパパと決別し歌った「どうして愛せないの?」という悲痛な歌がすごく悲しいけど思いが伝わりすぎて好きになってしまった(なんというタイトルの曲なんだろう)

 

これが前回の感想で。今回も同じようなことを感じたんだけれど、まぁ、アマデ可愛くて可愛くて!2人の一体感が強くて、コンスタンツェがいう「あなたは自分の才能しか愛していない」というセリフに妙に納得させられた。アマデを見るヴォルフガングのいつだって慈しみの表情で。観客としてはそこに小さい子供がいるから微笑ましいけど、コンスタンツェからしたらほんと…虚しいしイライラするよね…。辛いね…。

ヴォルフガングはとおーーくの方から眺めていたい。近しい人間には多分なれない…。

コンスタンツェ役の木下晴香さんを初めてみたんだけど、細い体のどこから声でてるん?!と思うほど力強い歌声やったなー。なんか写真でみるよりクールな印象を受けました。役柄の影響かな。

そして数年ぶりに拝見した古川雄大氏は相変わらずスタイルがよくて声が甘くて表情がくるくる変わって表現力に磨きがかかっていて…生きる活力になりましたね。私の。しかも席がめっちゃ良席で銀橋(違)に出てくるとほんとに近く!!!!!!ゆうたさんの舞台、そんなに観劇数は多くないんですけどこんなにお近くで拝見するのは初めてで、ときめきが止まらなかったですね…。最近ドラマ出演も多くて(7月から主演始まる!)嬉しいけど、やっぱり生のゆうたさんが1番端正で1番オーラ放ってるよ…!全部の公演は中々観に行けないけど、やっぱりこまめに観たいな…。まぁ、チケットが手に入るかどうかが問題ですけどね!

役代わりをどちらとも観るなんて贅沢はできなくて山崎育三郎さんのモーツァルトを観れないまま、いっくん卒業しちゃいそうで悲しい。きっと受ける印象も全然違うんだろうな、観てみたい。というか、早く生いっくんを観てみたい…。

色んな意味で希望通りに観劇が叶わない日々が続いているけれど、早く作る方も観る方も笑顔になれる日が来ますように。

ところでモーツァルト!でもフィナーレつけて、ヴォルフガングとコンスタンツェのデュエットダンスやらないかな(踊る古川雄大氏が観たい)