雪組公演「ファントム」を観てきました。初演と春野寿美礼さんの再演を観ています。でも12年前なので、大筋しか覚えておらず今回の変更点はよく分かっていません。オープニングがめっちゃ変わったことぐらいしか…(ファントム組曲かっこよかった…)
覚えていない理由はもう1つあって。
実は私、宝塚版ファントムが、少し苦手なのです。
なので映像でほとんど見返していない。だから覚えていない。
宝塚版、とつけたのは劇団四季が上演している「オペラ座の怪人」とは作家が違い、全然別物だということ(一度も観たことがありません)、また、宝塚の潤色って結構激しいと思うので本家とも違うのだろうなと思って。
だから私が苦手なのは宝塚版ファントム。
なのに観に行ったのは主演が望海風斗と真彩希帆だから。(敬称略
これに尽きるのです。
だいきほにとってファントムって運命の演目なんでしょ?
花で出会って雪で再会した2人の運命なんでしょ?(twitterでの聞きかじり)
そんなこんなで観に行きました。(前置きが長い)
ここから始まるのはファントム苦手な人の感想なので、ファントム大好きな人は読まないほうがいいかもしれません。
以下感想です
ファントムが苦手な理由は
・救いがなくて辛い
・エリックが怖い です。
主人公が原因って言っちゃっていいのかな。とか思うんですけど。でもその怖さって物語にとって大事な部分なんだと大人になって観て思いました。
何故エリックが狂気的に見えるのか、その理由を考えたら悲しい物語なんですよ。他人も自分自身もエリックを認めず愛さない。ただひっそりと生きて死ぬのを待つだけ…。そんな時に出会ったクリスティーヌ。きっと生まれて初めて自分から求めた。悲しいな、って思います。
でもやっぱり怖い。
行動が怖い。
クリスティーヌのいるところに神出鬼没に現われるのが。
エリザベートの閣下はシシィの妄想っていうか人外だから神出鬼没でもいいんだすよ。
でもエリックは生身の人間として観てしまうから…!「怪人」として観たら普通のことなのかな?!でもやっぱり今回もひいぃぃぃ!ってなってしまって…。
そして辛い。クリスティーヌに一瞬愛された、とエリックは言いますがクリスティーヌは同情を愛情と履き違えただけにも見えます。辛い。
キャリエールからは愛されている。でもそれは罪悪感を伴う愛で…。なかなか辛い。
それはともかくやっぱり主演2人は凄かったです。観に行ってよかった。
きいちゃんのクリスティーヌはその歌声を操る技術の高さを見せつけられました。伸びやかで爽やかな歌声は圧巻。
そして、クリスティーヌの夢しか追いかけてない感、実は全然周りを見てないよねっていう感じが、きいちゃんスマイルに表現されていて、エリックとクリスティーヌのすれ違いに合点がいきました。
というかクリスティーヌは自分の気持ちを掛け違っていたのだな、と。分かってるつもりで何にも分かってないのだと。伯爵に告白されてるのに全然聞いてないしね。
あと衣装が全部似合ってて素敵(舞台ブロマイド売り切れ続出だった)。
だいもんのお芝居はいつも私を客観でいさせてくれず、今回もめっちゃ感情に巻き込まれて辛かったです…。すごい役者だなぁ。クリスティーヌに拒絶されたところは本当に辛くて観てられなかった…。すごい役者だなぁ(2回目)
歌声に関しては、全体的にパンチが強かったのですが、2幕からぶわぁと広がるような会場を包み込むような歌い方をされる箇所があってそれが春野寿美礼さんを思い出されて、すごくなんか胸が熱くなりました。
彩風咲奈さんのキャリエールとの場面ものすごくよかったです。ここのエリックは本当に小さな男の子のようで。デュエットももう感動しかない(でもキャリエールにお前妻はどうしたんや、と思ってしまう)咲ちゃんすごくお歌が上手になってたんですけど!本当に暖かい場面で、涙が出そうでした。
キャリエール、シャンドン伯爵と並ぶと同い年にも見えたけど、喋るとそこそこおじいちゃんでした。もう少し若い設定でもよかったかな!
あとフィナーレ最高。燕尾、久しぶりに観たけれどやっぱり最高だなって震えました。きいちゃんのダンスもしなやかで最高でした。
今回、ファントムは私の中の「愛の物語」の定義から外れてしまっていてしんどいだな、と思いました。そもそも愛の物語として作られていないのか?
ともかく宝塚の作品としてはどこか異質で、その異質を自分が受け止めきれないのかな、とも思う
でも今回やっぱり観に行ってよかったです。だいきほをはじめ雪組がすごくレベルの高いお芝居をしていたし、終わった後は辛かったけれど、今はもう一度観たいな、とも思います。
こんな長い感想を書くくらいだしな。もしかしたら本当はめっちゃ好きなのかしれない。
とにもかくにもだいきほでからっと明るい演目まってます。
ヴィクトリアンジャズのようなキャラのだいもん切実に待ってる!!